1.悔悟<side亨>

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冗談だと思おうとした。 俺を騙して、クラスの笑いのネタにでもするんだと。 だから冷たくあしらった。 はなから相手にもせず 『どうせ俺の生徒じゃないし』 そのくらいの気持ちでいた。 「ねぇ、どうしたら付き合ってくれる?」 俺に発信器でもつけてるのか? 俺がタバコを吸いに校舎屋上へ足を向けると かならずと言っていいほどそこにいる。 俺の隠れ家だったのに。 「だから・・ 俺がお前に手出したら犯罪だろ?」 お前がいるとタバコが吸えないんだよ。 少しいらっとしながら、けれど決して表情には出さずに大人な顔をして見せる。 「じゃぁ、もっと大人っぽくなったら付き合ってくれる?」 ん? なんか勘違いしてないか? 大人っぽくなるとかならないとか、そうゆう話じゃないだろ? そう口に出しかけて ・・ギリギリのところで言葉を飲み込んだ。 それは坂井の顔が あまりに真剣だったから。 冗談で言ってるわけじゃない、そう坂井の目が俺に訴えていたから。 ・・まずい。 真っ直ぐすぎて邪険に出来ない。 ・・受け入れざる得なくなる? 男の直感。 今思えば直感というより確信に近かったかもしれない。
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