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「いらっしゃーい♪」
金曜の夜。
家に帰りつく直前の呼び出しメール。
『いつものbarに11時ね。』
時計の針はあと5分で11時を指そうとしている。
・・俺の回りにはこんなのしかいないのか?
はぁ・・
あからさまにため息をついた俺を、横目でにらみつけるのは河崎紗代子。
大学受験の時の家庭教師で当時の彼女。
今は・・よくわからない関係。
「なによ、来て早々嫌な感じね。」
そう言って、年甲斐もなく頬をふくらませる。
どっちかと言えば童顔だから、まだその芸当つかえなくもないが
・・使う相手間違えてるだろ。
というか、そんなことより
「・・いきなり呼びつけるのいい加減止めろよ。」
毎度毎度、呼びつけられる身にもなれって。
「散々な言い方ねぇ。
金曜の夜に、一人寂しい思いしてるんじゃないかと思って誘ってあげたのに。」
おい。
なんだよ、その上から目線?
「・・お前が暇人なだけだろ?」
グラスのカクテルを一気に空ける。
別に俺は、寂しいやつなんかじゃない。
・・余計なお世話だ。
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