†始まりは†

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   「おっ」 ベッドに寝転がったまま開いた携帯。 俺はその画面から目を離さず、むくっと身体を起こした。  [雑誌**を見てメールしました。ミホです。 初めまして♪ ちょっとAyuに似てるかも。楽しくメールしませんか? ちなみにタカシくんより1コ年上です!] ──へぇ……。ホントにきた。 そっか。今日あの雑誌の発売日だったのか。 すっかり忘れてた。 ひと月ほど前、大学の友だち鎌田将(かまた まさる)が『かなうもやってみろよ』と投げてよこした雑誌。 ぎこちなく笑う素人っぽい女の子が表紙の、出会い系の情報誌だった。 『携帯から掲載依頼するだけ。 簡単なプロフ添えてな。 ま、翌月に載るかどうかは運次第だな。 なんせ応募するのは野郎ばっかだから。 かなうだったらジャニーズ系ですって書いても詐欺じゃねぇし。 可愛いコつかまえられたらラッキーつぅことで』 将は目の前で携帯をいじりながら、『気楽にやってみ。楽しいから』と雑誌を俺に押しつけた。 [タカシです。容姿は悪くないと思います。 優しい年上のお姉さん希望。 淋しい俺を癒して] 渋っている俺の携帯を奪い取って、将が書いたプロフだ。 あまりにもベタ過ぎて、鼻で笑うしかない。       ──年上のお姉さん希望って、おまえの趣味だろが! ちなみにタカシってHNは、俺も将も大好きなお笑いコンビの一人から拝借したらしい。
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