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だが、ここで慌てては医者として未熟だ。
状況を確認し、的確に判断をする。
慌てることこそが、失敗に繋がる。
俺は持っていた鞄から簡単な医療セットを取り出す。
この時期だ。
風邪も有り得る。
「…睦月さんっ!星は大丈夫なんですか!?」
煌希ちゃんの悲痛な叫びで、星が重い病気だと思えてくる。
俺は星の脇の下に体温計を入れる。
その間に喉を見る。
腫れが無いかもチェックする。
しばらくして体温計を見てみれば、少し熱があったが、思ったより酷くはなかった。
「…大丈夫。風邪だ」
煌希ちゃんに言うと、煌希ちゃんは心底安心したようにする。
とは言え、38.5℃。
風邪でも、決して低いとは言えない温度だ。
「…煌希ちゃん。家で治療するから、星はつれて帰る」
「…分かりました」
煌希ちゃんがこうしてはっきり言うのは、やっぱり星のことを大切に思ってくれているからだと思う。
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