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「…ひゃっ…ダメ…だよっ!」
調(トトノ)わない呼吸の中、私は必死に春兄に言う。
「……む…り…」
ここまでも初めてな私には耐えられなかった。
ここでようやく春兄の最初の言葉の、「耐えろよ」の意味がわかった気がする。
「…悪かったな。俺のせいで」
私の言葉の後、春兄は私の上から退(ド)いた。
バツの悪そうな顔をして、私を抱きしめた。
「…私もゴメンね?春兄の気持ちも分からないで」
私もなんだか悪い気がして謝った。
春兄は頭を撫でてくれた。
「…なるべく頑張るからね?」
私の言ったことで、春兄は少し驚いていた。
…そんなに驚くことないのに…。
「…ありがとう」
何に対して言ったのか分からない春兄の言葉を聞いた辺りから、私は寝ていた。
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