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着いた場所は高級な建物で、本来私には一生無縁だったはずの場所だ。
春兄は当たり前の顔をしてどんどん建物内に入って行く。
「……春兄…?…」
本当に私が入って良い場所なのか心配になって、春兄の着ている服の裾の端をギュッと握る。
「…大丈夫だ…」
私の気持ちを察してくれたのか、春兄は私の頭に手を置き、安心出来るような笑みを浮かべる。
…なんだか大丈夫な気がしてきたっ!
でも裾は離さずに、春兄について行く。
「…予約していた…」
「睦月様ですね?お席はこちらになります」
ウェイターさんみたいな人がいて、春兄が言うと案内をしてくれる。
…良い人だなぁ…。
なんて考えていると。
「…あの人もこれが仕事なんだよ」
少し笑いながら春兄が言った。
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