ルール説明

2/3
前へ
/43ページ
次へ
「"貴方は死んでるんです。"」 男のコトバが何度も何度も頭の中でエコーする。 俺は死んだのか... 思い出した...俺は会社から帰る途中、車に跳ねられて... そうか。。。俺は死んだのか... 涙がでてきた... こんなことならもっと娘とたくさん遊んでおけば良かった。 妻との時間をもっとたくさん過ごしておけば良かった。 もっと...自分の愛する家族とたくさんの時間を過ごしたかった。 止めようと思っても止まらない涙。 どんどん吹き出してくる。 「それでは、ルールを説明します。」 「待ってくれ。田中さん...だったっけ??あんた一体何者なんだ?他の人には俺の姿が見えないみたいなのに、あんたには俺が見えるみたいだ。」 「私は、死んだ者にルールを説明する神の使い。。。あ、分かりやすく言えば天使みたいなものです。」 天使ィ??天使だと?! 馬鹿な。 天使ってのは子供で、背中に羽のあるやつじゃないか。 今、俺の目の前に立っているのは、中年のオジサン。 とても子供とは言えない大人の男だ。 もちろん、背中に羽もない。 俺が想像してる天使とは、ずいぶん違うな...ギャップが激しすぎる。みんな天使が本当はこんな姿してると知ったらどう思うだろ... 「杉原さん?きちんと説明聞いてくださいよ。」 考え込んでいると田中さんに注意されてしまった。 「あ...はい。」 (とりあえず話を聞いてみよう。) 「いいですか?今から貴方の目の前に扉が現れます。扉を開けると階段があります。階段は天国へと続いています。貴方はその階段を時間内に上がって行けばいいのです。」 「ぇ?階段を昇るだけ?それだけで天国に行けるの?」 「そうです。」 (これはまた...随分カンタンに天国に行けるんだな...) 「ただし。扉を開けたら貴方は一言も喋ってはいけません。もちろん口を開いてもダメです。」 「…もし口を開いたり、喋ったりしたら?」 「その瞬間地獄へ墜ちます。」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加