始まりの桜の木

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見つめる我の瞳… 其れはしとやかな愁いを孕んで…。 桜の花弁がひらひらと舞い落ちる。 桜を見つめる夕霧。 手を伸ばせば掴める桜の花弁。 「夕霧…」 優しい声に夕霧が振り向けばそこには桜鬼がいた。 桜鬼は夕霧の許婚である。 元々両親が決めた政略結婚であったが、互いの姿を見た瞬間惹かれ合った。 俗に言う一目惚れ。 夕霧は桜鬼の方を見て微笑した。 「如何なさいました?桜鬼殿」 「今年は特に桜が綺麗だ…。其方と一緒に桜が見たい」 桜鬼は夕霧と目を合わせずに微かに頬を染めて言った。 「いいですね…。では身支度をして参ります、下で待っていて下さい」 桜鬼は頷くと、踵を返して夕霧の部屋から去った。 二人が愛し合っていなければ…あんな悲劇は訪れなかったのに…。 「(だってしょうがないじゃない…愛してしまったんだもの…)」
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