転校生

2/16
前へ
/366ページ
次へ
キーンコーン…カーンコーン… 11月の放課後。 誰もいない校舎の裏庭。 風もなく、まだ暖かい陽射しが出ていて気持ち良い。 アタシは洋服を作っていた。 大好きな時間。 …でも裁縫が趣味なんて似合わないから、みんなには秘密。 だってアタシは学園の王子様と呼ばれてるから。 そんな自分にコンプレックスを感じていた。 そろそろ帰ろう。 辺りが薄暗くなり始め、寒くなってきたなぁ…。 素早く片付け、立ち上がった。 その時、向こうの木の陰から足が見え人が居た事に気がついた。 そっと近づいて見ると、見たことない綺麗な男子が寝ていた。 いつまでも寝ていたら風邪引くかも…。 起こそうとすると、彼の瞼がうっすら開く。 彼の瞳に吸い込まれそう アタシはなぜかその瞬間動けなくなった。 お互い見つめ合う すると彼の手が伸び、アタシの顔を引き寄せて… キスをした。 「───!!」 頭が混乱したまま、彼をおもいっきり突き飛ばして逃げた。 それが2人の出会いだった。
/366ページ

最初のコメントを投稿しよう!

303人が本棚に入れています
本棚に追加