303人が本棚に入れています
本棚に追加
キーンコーン…カーンコーン…
11月の放課後。
誰もいない校舎の裏庭。
風もなく、まだ暖かい陽射しが出ていて気持ち良い。
アタシは洋服を作っていた。
大好きな時間。
…でも裁縫が趣味なんて似合わないから、みんなには秘密。
だってアタシは学園の王子様と呼ばれてるから。
そんな自分にコンプレックスを感じていた。
そろそろ帰ろう。
辺りが薄暗くなり始め、寒くなってきたなぁ…。
素早く片付け、立ち上がった。
その時、向こうの木の陰から足が見え人が居た事に気がついた。
そっと近づいて見ると、見たことない綺麗な男子が寝ていた。
いつまでも寝ていたら風邪引くかも…。
起こそうとすると、彼の瞼がうっすら開く。
彼の瞳に吸い込まれそう
アタシはなぜかその瞬間動けなくなった。
お互い見つめ合う
すると彼の手が伸び、アタシの顔を引き寄せて…
キスをした。
「───!!」
頭が混乱したまま、彼をおもいっきり突き飛ばして逃げた。
それが2人の出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!