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【おかえりなさい。】
雨も降っているし、早く報告したい事もあるから駅まで迎えに来たんだけど……何やってるのかしら、あの人は。
広場の中央にある時計の針は、18時を過ぎたところを刺している。いつもならこのくらいの時間のはずなのに……
「早く帰って来なさいよ……」
溜め息混じりに呟いた私の視界に、彼の姿が映る。彼も私を見つけてくれて、心底驚いた顔をしていた。
目を白黒させる表情がなんだか可愛くて、私はクスリと笑った。
「お帰りなさい」
彼は照れたように笑いながら、「ただいま」と言ってくれた。
それから、「今日はどうした?」と私に問う。
失礼ね。貴方が雨に濡れて風邪をひくといけないから、こうして迎えに来たのよ。
私が拗ねたようにそっぽを向くと、彼は慌てたように「ごめん、ごめん」と謝ってきた。
大丈夫よ。別に怒ってないから。それより……
「あのね……」
彼の耳元に唇を寄せて、自分のお腹に少し触れながら私は囁く。
「え!?」と彼は驚いて、けれど凄く嬉しそうに私を抱きしめてくれた。
ねぇ、貴方。大好きよ?
ずっとずっと愛してるわ。
~おかえりなさい。~
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