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基地内に非常サイレンが鳴り響いた。
『緊急事態発生!新宿付近に巨大な熱原を感知!第一級戦闘配備!パイロットは機体に搭乗せよ!繰り返す!緊急事態―』
自室に向かっていた鏡子は急いで引き返した。整備は多分まだだろうが仕方がない。
「鏡子!早く乗れ!OSは起動済みだ!」
大江達整備クルーが待ち構えていた。
「恩にきるケンさん!!」
滑り込むようにコックピットに入る鏡子にガーゴイルのAI『サラ』が話し掛けてきた。
『曹長殿、お待ちしておりました』
「ボディが汚れたままだけどご免なさいね…状況が状況だから」
『このような事は日常茶飯事です』
「…ふっ、まぁそうね」
何故だかわからないが、鏡子はサラと話していると気持ちが落ち着く。長年連れ添うとわかることもあるのだ。
頭上の射出ハッチが開かれた。秒読みが始まる。
「…派手にやるわよ?」
『<上等>です』
「…何処でそんな言葉覚えるのよ…」
『私は常に様々なネットワークにリンクしています。ご希望ならもっと砕けた会話も出来ますが』
「…それはパス。葛城鏡子!出るよ!」
ガーゴイルは直立不動の姿勢でレールを滑り、上空に射出された。
そして次の瞬間には、遥か彼方に飛び去っていた。
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