漆黒の起動兵器

14/29
前へ
/29ページ
次へ
怪物と視線が合う。 血走った真紅の瞳 鋭い牙 生きた心地がしなかった。勝ち目などない― そう言われているかのようだった。 『クキャァァァァア!』 怪物は雄叫びと共に三本ある内の一本の首を此方に向けた。口腔内で紅い炎が揺らめいている。 殺られる― そう思った。 炎が段々勢いを増してゆく。万事休すだ。 真はとっさに目をつぶった。 ドガァァァァァァア!! 凄まじい爆発音。 真は恐る恐る目を開けた。そして見た。 『ギュァァァァァァァァァァァァァァァァァア!』 先程まで此方を見ていた怪物の頭が跡形も無く消しとんでいる。痛みを堪え切れずしきりに首を動かして悶える怪物。 「…な、何が…起きたんだ…?」 だが真の疑問は直ぐに解決した。 東の空に四機の起動兵器が飛んでいた。真っ直ぐこちらに向かって来る。 その先頭を行く黒い起動兵器― 例の未確認の起動兵器だ。手には巨大なサーベルを持っている。 「助けに…来たのか…」 怪物が攻撃があった方角を睨む。明らかに怒りの色が見える。 『グキャァァァァァァァァァァァァァァァァア!』 怪物が攻撃を始める。 「…今のうちにっ!」 真は目の前の瓦礫と改めて向き合った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加