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深夜―
昼夜を問わず活気溢れるこの新都『TOKYO』もようやく休息の時を迎えた。
めまぐるしく変わる信号機のライトも次第に瞬き始めた。それはまるでこの大都市が虚ろになってゆくようでもあった。
やっと訪れた静寂―
しかしそれは長く続かなかった。
突然地面が隆起した。
その真上にあった車が無惨に砕け散る。
飛び散る土砂とコンクリート片―立ち込める砂埃の中で『それ』は雄叫びをあげた。
『グォォォォォオ!!』
口は後頭部まで裂け、赤黒い爪を持つ毛むくじゃらの怪物は、その真紅の瞳をぎらつかせながら近くの建物にその爪の一閃を見舞った。
意図も簡単に切り裂かれたビルが凄まじい音をたてて崩れ去った。しかし怪物の攻撃はより激しさを増した。
無惨に破壊される建物と共に消えゆく命…
次の標的を定め、突撃する怪物…
目標のビルが切り裂かれる刹那、突如真横からの一撃が怪物の脇腹を直撃した。
『!!!!!!』
突然真横に吹き飛ばされた怪物は道路を破壊しながらその先のビルに激突した。崩れ落ちるビル。
勢い良く這い出した怪物の目にそれは写った。
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