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朝―
目覚まし時計の爆音が響いた。手探りでそれを探し、スイッチを切る。
「…う~ん…」
眠い目を擦りながら少年は目覚めた。
彼の名は『日向真』
色白で特徴のない顔。適当に切った茶髪に、黒い瞳。どの学校にでも一人は必ずいそうなごく普通の高校二年生である。
「…後五分だけ…」
そう言ってまた眠りにつくあたり、あまりしっかりしてはいないようだ。
「こらぁっ!お兄ちゃん起きてっ!またギリギリに出るつもりっ!?」
そこに真の妹らしき女の子が入って来た。短めの茶髪で、学校の制服の上にエプロンをしている。おたまを持っているあたり朝食を作っていたようだ。
「里菜…待て…あと五分だけ…五分……」
また寝てしまった。里菜と呼ばれた少女はやれやれという表情を浮かべた。どうやらこれがいつもの光景らしい。
「…よ~し…こうなったら……とりゃあっ!!」
するといきなり里菜は少年の腹部めがけて凄まじい威力の飛び蹴りを放った。
「ぐぎゃぁぁぁっ!!」
苦しそうな悲鳴をあげながら、真はベッドから転げ落ちて床をゴロゴロとのたうちまわった。
「ほら、早くご飯食べて!片付かないから!」
真は腹部の痛みに耐えながら微かに頷いた。
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