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8時20分―
真は人と人との間を急いですり抜けながら学校を目指していた。
途中何度も人の波に行く手を阻まれたが、何とか今のところペースを保っている。
更に2~3分走って行くと微かに校舎が見えた。距離はだいたい400~500mぐらいだろう。
「っし…!このペースなら間に合う…!」
希望が見えてきた。先程より心なしか足取りが軽い。真は少し足を早めた。
その時―
ドゴォォォォォォオ!!
突然の爆音。一斉に振り返る人々。
真が走ってきたのと反対の方角からそれは姿を現した。
「か、怪物…!?」
それは紛れもなく怪物だった。一見亀のようだが、頭が三本もあり額には巨大な角を生やしていた。
『クキャァァァァア!』
怪物は鳴き声と同時に燃え盛る火炎を吐いている。それはみるみるうちに周りの建物を溶かした。
周りの人達は大声で真の方へ逃げて行く。
しかし、真はまだ逃げられなかった。
「くそぅ…あの方角には里菜が…」
このままでは里菜の命が危ない。だが今あっちに向かうのは自殺行為だ。みすみす死ぬだけかもしれない。
しかし、真は迷わなかった。
「くっ…待ってろよ…里菜っ!」
逃げ惑う人達の流れに逆らって真は里菜の通う中学へと向かった。
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