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そんな俺が、揺華の飲んでいる様な度数の高い日本酒など飲んだら、まず撃沈するのは目に見えて分かる。
「それより、お前のそのふざけた性格の方がよっぽど直した方が良いと思うしな」
揺華の嫌味に対抗して、俺は出来るだけ皮肉混じりに言い放ってやる。
だが、またしても揺華は気にするそぶりも見せずに「俺はいつでも大真面目だぞ?」と、ふざけた返事を返してきた。
―返事からして真面目に答えてないだろうが…―
「ま、自分のことは自分で何とかするさ」
まるで俺の心の声が聞こえたかの様な返事のあと、揺華はつまらなそうに視線を桜へと戻してしまった。
俺はそんな揺華の態度に心底苛立ちを覚えるばかりだ。
本当に俺と揺華は気が合わないと思う。
実際、俺達が生まれて間もない時に別居した両親達が同居する様になってから。
つまり、俺は母さん、揺華は父さん、とそれぞれの親に引き取られていた俺達が再開してからの約1年間、ろくに会話とまで行く程の話をしていない。
互いにまだ歩けもしなかった時に別れたのだ、しかも俺にいたっては会った事も見た事もなかったからもはや兄弟と思えない。
まぁそれは今更仕方がない事だから、どうこうするとかは無いのだが、問題なのはその再会のしかただった。
再開して最初に揺華が口にした言葉が『小さいな』だったら誰だって怒るだろう。
確かに俺の背丈は揺華よりは低いだろうが、俺だって170センチは越えている。
高校1年生のあの頃にしては、そこそこ低くはないだろうと感じていた俺に対して、小さいは無いと思う。
それに偉そうで命令口調な上にいかにも遊び歩いてそうな奴はあまり好きでは無かった。
しかもナルシストだし、何故か毎日必死で勉強している俺を通り越して学年主席という始末。
もうむしろ嫌いだ。
この違いは何なのだろうかといつも思う。
揺華はどう思っているか知らないが、俺は確実に第一印象から、こいつとは余り仲良く出来ないと決めつけていたのだ。
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