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車に乗り込んで、この辺りで1番夜景が綺麗に見える山へむかう途中。
「美樹」
「ん?」
「夜景やっぱやめ」
「どうして?」
圭介は車を山とは全く違う方向へ走らせ始めた。
「ね? 俺もう無理。ワンピース、すっげ、そそられる」
「……もう」
圭介は、右手でハンドルを持ち、左手をわたしのスカートの中に忍ばせる。
器用だなあ。
「俺の家、行こうか」
はっきりやりたいって言えばいいのに。どうしてこう、いちいち本心を隠すような口振りなんだろう。
大人って、わからない。
「……うん」
わたしが返事をした時には、車は来た道を引き返していた。
景色が流れるスピードは心なしか速くなっていた。
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