わたしの日常

7/15
前へ
/302ページ
次へ
車に乗り込んで、この辺りで1番夜景が綺麗に見える山へむかう途中。 「美樹」 「ん?」 「夜景やっぱやめ」 「どうして?」 圭介は車を山とは全く違う方向へ走らせ始めた。 「ね? 俺もう無理。ワンピース、すっげ、そそられる」 「……もう」 圭介は、右手でハンドルを持ち、左手をわたしのスカートの中に忍ばせる。 器用だなあ。 「俺の家、行こうか」 はっきりやりたいって言えばいいのに。どうしてこう、いちいち本心を隠すような口振りなんだろう。 大人って、わからない。 「……うん」 わたしが返事をした時には、車は来た道を引き返していた。 景色が流れるスピードは心なしか速くなっていた。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16211人が本棚に入れています
本棚に追加