22人が本棚に入れています
本棚に追加
「エル。お前も人形買ったのか」
僕がニナを連れて夜の街を歩いていると、同年代であろう青髪の少年を連れた、赤毛の軽そうな少年が肩に手を乗せて来る。
「略すな、馴れ馴れしい」
こいつは同業者のアシュレイ・ミラ。
僕の名前はエルメリア・キュベレイ。エルなどとあだ名を付けることを認めた仲ではない。
「ツれないね~、キュベレイ伯爵」
「で、何の用だ?」
「いや、なに、ちょっと君を目障りって言う輩がいてね」
そう言うと、懐から何かを取り出すアシュレイ。
僕の人形が反射的に僕とアシュレイの間に割り込み、鈍く光る銀色がその腹部を捉える。
「かはっ……、うぅっ」
口から血を吐きつつ僕の人形はアシュレイに突進し、ひらりとかわされ転倒した。
「いやー、優秀優秀。
所有者のための献身度、とっさの反応速度、肉体的耐久度。
どれも一級品だ」
アシュレイはにやけつつ、よく出来たおもちゃのナイフを連れの人形に持たせる。
最初のコメントを投稿しよう!