1章

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1章

雲一つない青空の下。 学園の正門前で溜め息が漏れる。 「まったく…毎朝、毎朝やめてもらいたいよ」 「水樹の容姿は可愛いんだ。仕方ないよ」 身体が細く背もそう高くない間城水樹(ましろみずき)は学園でモテモテだった。 「女の子にモテるっていうんならいいんだけどなぁ」 残念ながらここは男子校だ。 学園の中へ入ると毎日、俺の女になれだの付き合ってくれだの言われる。 それが嫌で正門前で溜め息ついてるわけだが。 「北斗はいいよな。登校中とか別の学校の女子にナンパされてんだろ」 「なんだ嫉妬か?大丈夫だ。俺はお前以外見えてないから」 うぅっ…幼馴染みとはいえコイツも危険かも…。 でも北斗がいるおかげで学園に無事入ることができるのは確かだ。 九条北斗は180の長身に眼鏡という知的な雰囲気を持つ男だ。 一睨みすれば周りの生徒は後退り。 「俺も北斗みたいにかっこよくなたいな」 「いや、水樹はそのままでいい。ずっと俺が守ってやるから」 ……はぁ、よくもそんな臭いセリフが吐けるよな。 いつものことだけど呆れる。 「おっ!水樹ぃー!」 「あ、南斗」 手を大きく振って近づいてきたのは北斗の双子の弟、南斗だ。
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