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それは年は若いようだが陰気な、という言葉が具現化したような青白い顔の男であった。
夜の闇に溶け込む様な全身を包む長い黒のローブで身を包み、手には背丈ほどもある鈍色の大鎌が握られている。
しばし男は少女を凝視する。
そして決意したようにすっと鎌を持たない方の手を伸ばし、雪に見とれる彼女の肩を軽く叩いた。
とんっ
「誰?! 」
彼女は弾かれるように振りかえり、いつの間にやら出現していた宙に浮かぶ男を見て驚愕に目を見開く。
「死を受け入れているようだな」
そんな彼女の表情から男は何かを読み取ったのか、抑揚のない声でそう呟き、予備動作なく虚空に向かって鎌を振るった。
刹那、彼女の中を何かが切れる感覚が走った。
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