死せる乙女

2/3
前へ
/41ページ
次へ
冬深まりし街。 クリスマスが近いため、暗くなり始めた街並みを色とりどりの光が彩り、その空に雪が舞い始める。 駅前の広場の真ん中には季節の象徴ともいえる大きなクリスマスツリー。 人々は白く染まり始めたそれを見上げ、あるいはその下で待ち合わせる。 そのクリスマスツリーの中程に少女が腰かけていた。 背中の中程で綺麗に切り揃えられた黒髪にシンプルな黒いワンピース。 漆の様な黒い大きな瞳に紅をさした様な紅い唇。 そして雪のように白い肌。 触れれば壊れてしまうような儚さを感じさせる彼女。 しかし誰も彼女の姿に気づかず、彼女はただ空より舞い落ちる雪を見つめていた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加