死せる乙女

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「雪……」 降り始めた雪を見つめながら彼女はポツリと呟いた。 そして空から降りてきた一片の雪にゆっくりと手を差しのべた。 しかし、羽のような雪は私の掌に舞い降りることなく通り抜けて大地に消える。 「……分かってはいるんだけどね」 雪に触れることができないのは触れるべき身体が既に存在していない故。 「やっぱり……死んじゃったんだね……私」 クリスマスツリーにも腰かけているわけではない。 その高さで浮遊しているだけ。 「……今更どうとなることじゃないけどね」 彼女はじっと手のひらを見つめて溜め息をつき、苦笑する。 「もうどれくらいになるんだろう」 彼女は自分がいつ死んだのか正確には覚えてはいない。 時間の感覚がほとんどないから。 そして彼女は雪を見上げながら追憶する。
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