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ふと、脳裏に浮かぶ光景があった。それは、赤く燃え盛る炎と、逃げ惑う人々の中、黒い翼の誰かと、白い翼の自分が対峙している光景。
それを見た途端に理解した。すべてを。
己がここにいる理由、存在する理由、これから何をすべきか、それを為すためにはどうすればいいのか、さらには、どう戦えばいいのか、そういう記憶と呼ぶに相応しいようなデータが頭に浮かんでいた。
本能的に槍を構える。すべては記憶のままに。
黒は目の前まで迫っていた。どうやら記憶を取り戻すのが早かったのは向こうらしい。動きが段違いだった。
しかし俺だって既に記憶と呼べるものは思い出した。負けることはないと、確信できている。
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