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水の滴る、微かな音で目を覚ました。
体は一寸たりとも動かない。
いや、動かせない。
手足は何かで押さえつけられ、微かに差し込む光では、視覚に頼るには不十分。
今何時なのかも分からない。
どこにいるのかも分からない。
何故こうなったのかも分からない。
そして……生きているかどうかさえ分からない。
ふと、再び水の滴る音がした。
何も考えず、機械のように音のした方に首を傾ける。
そこにあったのは、水ではなくベットリとした赤い液体。
――そして、かつて自身の左腕だったモノが、赤い液体に塗れ石ころのように転がっているのだった。
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