新生活

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キーンコーンカーンコーン… 「じゃあなクラーク!!先に帰っとけよ」 そう言って昴は慌ただしく教室を出た。 今日は委員会の日らしい。 昴はガキの頃からいつも委員とか役員になっていて、今回も担任たっての希望でクラス委員を任されていた。 一方俺は全くそういうのは向いていない。 やれと言われたらやるかもしれないが…そう言われることは、寂しいがまずないな。 入学して一週間たつのに話しかけられることといったら昴か、同じ中学出身のヤツくらい。 滑り出し悪いな…俺。 昴を見ていると余計にそう思う。 俺は、少しうなだれて靴箱へ向かった。 「「あ」」 げた箱には咲弥がいた。 咲弥とハモった俺。 ラブコメちっくな展開に、俺の体温は上昇。 靴箱と靴箱の間で、俺と咲弥の間に沈黙の時間が流れた。 2人になるとこんなにも言葉が出てこないなんて。 俺は昴の存在のでかさを痛感した。 「い…委員会ないの?」 先に口を開いたのは咲弥だった。 「え?あぁ俺…そういうの向いてないから…」 そう言いながら、俺はやっと自分の体を動かして靴に履きかえた。 なんなんだよ、俺は。 女子と話したことがないわけではない。 中学の時は一応、彼女もいた。 なのに今の俺は何だ? 咲弥に自分から話しかけることも躊躇してしまう。 増してや咲弥は俺の兄貴に惚れてるっていうのに…。 頭ではわかっているはずなのに。 冷静さに欠ける自分に少し嫌気がさした。  
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