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「矢野君と峰倉君て目立ってるよね」
咲弥と2人で歩いていた帰り道、咲弥のこの一言が沈黙をやぶった。
「は?」
「最初話しかけられたとき嫌だったもん」
「あ~、確かに昴は目立ってるからな」
それであの時あんな態度だったのか。
確かに新学期早々あんなのに(失礼)話しかけられたら嫌かもしれない。
俺は妙に納得した。
「矢野君だって目立ってるよ。なかなか近づけないってみんな話してるしね」
……え?
俺ってそうなの?
だから友達できないの?
「…って、自分で自覚なし?」
驚いて言葉が出ない俺を見て、咲弥が笑った。
「2人といるとあたしまで目立つから嫌なんだよね~」
………
「いやいや、咲弥ひとりで充分目立ってるから!!」
俺は思わずつっこんだ。
明るい茶髪に堂々とピアスしてる女子なんて、理数科には咲弥1人。
充分目立つ存在だ。
咲弥がそんな冗談を言うなんて驚いたが、新たな一面が見れて俺は嬉しくなった。
俺と咲弥の間に暖かな春の風が流れた。
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