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「今時ラブレターかぁ…」
「まぁ何にしろ嬉しいけどな」
いつものように屋上で、俺と昴は授業をサボっていた。
俺にとっては人生初のラブレター。
手紙の内容は実にシンプルだった。
『入学してからずっと気になってました。良かったら彼女にしてください。楠恵里佳』
密かに思いを寄せられていたなんて、正直嬉しかった。
「で、どうするの?」
「何が?」
「とぼけんなよ~返事だよ返事!!」
「あ…」
「お前まさか考えてなかったわけ?笑」
「全く考えてなかったわ。」
「普通考えるだろ。でもま、そのままスルーってのもありだろ。手紙だしな」
「いやいやいや!!ないだろ!!」
「よく言うわ笑」
思いを告げられたからには、答えるのが良識だよな。
昴は女関係になると、普段の昴からは想像できないくらい冷めている。
まぁこいつにも色々あったんだ。きっとまだまだ俺も知らないことがあるんだと思う。
そんなこともあって、俺は昴からの恋愛に関する助言は半分以上聞き流す。
手紙には差出人の名前の下にメールアドレスが書かれていた。
メールでもいいからきちんと返事をしようと俺は思った。
って、…なんて返事したらいいんだ?
そんな時俺の頭に思い浮かぶのは
咲弥の顔だった。
これが
俺の答えなのか…。
自分でもまだよくわからなかった。
咲弥は、兄貴を想っているのに。
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