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眠れないまま朝を迎えた。
頭がぼーっとする。
寝ても覚めても、考えるのは咲弥と兄貴のこと。
一体2人はどんな関係なんだ?
どのくらいの頻度で会っているんだ?
考え出したらキリがない。
とりあえず、俺は学校へ行く準備をした。
「あ…手紙…」
制服のポケットに入っていた手紙を手にするまで、昨日の手紙のことはすっかり忘れていた。
楠さんごめん。
どれだけ咲弥と兄貴のことを考えてたんだ俺は。
でもそのおかげで、俺は自分の気持ちに気がついた。
断るなら、早い方がいいに決まっている。
意を決して、俺は楠さんにメールを送った。
『昼休み屋上で。矢野絢斗』
よし。
「ケント~朝ご飯はぁ~?」
「今日はいい」
母親の声を振り切るように俺は家を出た。
俺の頭の中は、心は、渦を巻くように荒れているのに
春の空は青く澄んでいて
太陽が眩しい。
毎日は
どんなに拒んでも、始まるんだな。
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