新生活

12/14
前へ
/116ページ
次へ
眠れないまま朝を迎えた。 頭がぼーっとする。 寝ても覚めても、考えるのは咲弥と兄貴のこと。 一体2人はどんな関係なんだ? どのくらいの頻度で会っているんだ? 考え出したらキリがない。 とりあえず、俺は学校へ行く準備をした。 「あ…手紙…」 制服のポケットに入っていた手紙を手にするまで、昨日の手紙のことはすっかり忘れていた。 楠さんごめん。 どれだけ咲弥と兄貴のことを考えてたんだ俺は。 でもそのおかげで、俺は自分の気持ちに気がついた。 断るなら、早い方がいいに決まっている。 意を決して、俺は楠さんにメールを送った。 『昼休み屋上で。矢野絢斗』 よし。 「ケント~朝ご飯はぁ~?」 「今日はいい」 母親の声を振り切るように俺は家を出た。 俺の頭の中は、心は、渦を巻くように荒れているのに 春の空は青く澄んでいて 太陽が眩しい。 毎日は どんなに拒んでも、始まるんだな。  
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加