それぞれの春

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春って、なんでこんなにウキウキするんだ? 俺は鼻歌まじりで新しい制服に袖を通す。 今日から俺も高校生。 高校生って大人なイメージだったのに、こんな俺でも高校生になれるんだな。 なってみると意外とあっけないもんだ。って、中学に上がるときもこんな事考えてたっけ。 学校に着くと、早速クラークが目に入った。 あいつ、目立つんだよな。 身長は俺の方がちょっと高いくらい。(あ、因みに俺の身長は172cm。まだまだ伸び盛りなんで、そこんトコよろしく!) 身長とかじゃなくて、あいつが目立ってるのは雰囲気だよな、多分。内と外から放たれるオーラ? とにかく昔っから、そこにいるだけで存在感が大きかった。一見近寄りがたいが、話してみると驚くほど優しい。 あいつの場合、見た目で損も得もするな。 そんなあいつに俺は今まで何度も助けられてきた。 クラス分けの表の1年F組には俺とクラークの名前があった。『峰倉』『矢野』で出席番号も仲良く隣同士だ。 軽くあしらわれると分かっていても、クラークに絡むのはやめられない。 クラークのもとに向う途中に、茶髪の美人が俺の目に飛び込んできた。 あの茶髪に、あの顔…あれは文句なしに目立つだろう。しかも、一匹狼っぽい。 同じクラスになったら絶対友達になろう。俺は勝手にそう決めた。 クラークと教室に入ると、俺たちのクラスに茶髪美人が座っていた。 兄貴の知り合いだとか何とか言っていたクラークは固まってるみたいだが、そんなの関係ない。 俺は速攻で茶髪美人に話しかけた。 まぁ、一言で一蹴されたわけだが…。(前章参照) そんなSぶりも悪くない。クラークは気に食わなかったようだが。 あいつにしては珍しく、感情むき出しだ。恋か? 恋はいいよ。クラークも好きなだけすればいいさ。でも彼女オンリーになるのは俺が寂しいからやめて欲しいな。 因みに俺は、高校では彼女は作らないと決めている。 女は広く浅く当たり障りなく付き合うのが今のところ性に合っている。 俺とクラークの憩いの場、屋上。(授業中ならなお良い) そこで茶髪美人と会うなんて意外だったが、クラークはなんだかんだ嬉しそうだった。俺は咲弥っちから色々聞き出してやろうと俺なりに頑張った。 古事記の行で2人は驚いていたが、古事記問わず昔話系は俺の愛読書だぞ。 愉快な仲間とともに、俺の楽しい楽しい高校生活は幕を開けた。  
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