EPISODE:ZERO

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 倒れ落ちるレフト・マニピュレーター。  M2はバランスを維持出来なくなって、ズン――と、膝を着いて機体を制御する。 「いくら装甲が厚かろうが!」  叫び、ヴァーンツは跳躍するとその照準を右肩の間接部に定め― 「!!」  背後に飛来した影に、身を反転させた。  視界に飛び込んでくる、紅く発光する2連の牙。  ―ヒート・ファング― 「ちぃっ!」    ゴァッ!  その口内にブラスターを撃ち込んで、M2の機体を寸でにかわす。  降り立ったM2に、ダメージは無論無い。 「!」  体勢を崩しながらも着地したヴァーンツが気付いたのと―    ゴァアア!  片足を失ったM2がブラスターを照射したのは、ほぼ同時だった。  立ち竦む少年が、両腕で顔を覆って数秒。  止んだ衝撃波と、墜ちた妙な静けさとに、開いた視界に写る右膝から下を失い倒れたヴァーンツの姿。 「隊長!」  思わず、少年は叫んでいた。  ヴァーンツは、苦々しげに顔を上げ― 「早……く……逃げ…ろ…」  血溜まりが、広がっていく。  ズン―と。  ヴァーンツと少年を、6機のM2が取り囲む。 「逃げ…ろ……少尉……ラキィ!!」 「う……あ……あぁああああ!!」  ――――
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