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迎えてくれたのは、山吹 久史。
今日は爺さんはいなかった。
座ってくれと言われ、俺はソファーに座った。
フカフカで座りやすい。
高そうだな。
俺の家賃の何倍だろうか。
久史は真剣な顔をし、用件を言った。
「今日、わざわざ来てもらったのは他でもない。お願いしたいことがある。」
やくざからの頼み?
一体、何だろうか。
まさか、鉄砲玉?
それだけはごめんだ。
「あるギャングチームを潰してほしいんだ。」
予想外。
俺は質問をしてみた。
「いや、俺がやるより、そちらがやったほうが早いんじゃ?」
久史はため息を吐いた。
「オレらが動いたら、奴らを認めたことになる。」
「ふーん。でも、何かされたのか?」
「あぁ。うちのシマで好き勝手やってな。」
そう言うと、久史は顎で指示した。
包帯を巻いた男が現れた。
「こいつは、そのギャングチームにやられた。」
度胸のあるギャングチームだな。
「名前は何て言うんだ?」
「バッキーズ。」
BAKKIE'S♂。
あのペイントを思い出した。
俺がしばらく黙ると、久史は札束を出した。
「まずは二百万。成功すれば、あと三百万やる。」
目の前の大金に目が眩んだ。
何も考えず、俺は了解した。
今思うと、馬鹿だった。
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