inequality the world

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カフェには一人の学生。 高校生、または中学生ぐらい。 俺がそいつの前に座ると、姿勢を良くして、頭を下げてきた。 最近の奴にしては、礼儀正しいな。 奴の名前は、飯田 好雄。 十五歳の中学生三年。 背は百六十五ぐらいかな。 俺より十センチばかり小さい。 緊張しているのか、細い声で喋り始めた。 「あの、僕の友達が、その……」 なんだかイライラするな。 ハキハキ喋ってほしい。 「コンビニで、えっと、スリをして……」 我慢できず、俺は口を挟んだ。 「あのよぉ。おどおどしてないで、もっとハキハキしろよ。」 「す、すいません。友達がスリして、つ、捕まったんです。」 「ふーん。でも、注意ぐらいで終わりだろ。あと、学校や家に電話とか。」 「そ、そうなんですけど……」 こいつ、言いたいことあるなら、ちゃんと言ってほしい。 「なんだよ。」 「もう一人の友達は、その、特に何もないんですよ。」 んっ?ちょっと待て。 「特にない?注意もか?」 好雄は小さく頷いた。 さすがにおかしい。 一人は注意と連絡。 もう一人は注意もない。 何なんだ?この差は。 「スリって、その二人は同じことやったのか?」 好雄の頷きはさっきより大きかった。 ったく、同じことやって、不平等が生まれるとか。 まったく、めんどくさい世の中だ。 まぁ、俺が何をすればいいかまだわからない。 もしかしたら、話を聞いただけで家賃がチャラに? けど、そんなに世の中、うまくいかないよな。 _
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