懐かしき夏の思い出

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 彼は夢を見ていた。ずっと昔の出来事。甘酸っぱい初恋の夢。  田舎にある一軒家。周りには畑も見える。そこに彼はいた。このとき中学二年生である。彼が家の中で少しの間ボォ~ッとしていると、家の外から大きな声で「大輔(だいすけ)!」という声が聞こえてきた。  当然。大輔というのは彼のこと。大輔は急いで家のドアを開けた。 「よっす大輔。遊ぼ!」  大輔がドアを開けたそこにいたのは女性である。何を隠そう、この彼女こそが大輔の初恋の相手なのだ。 「おぉ。それはいいけど、お前……」  大輔は何やら気まずそうな感じでそう言った。 「うん……大輔ももう知ってるよね。私が明日引っ越しちゃうこと……」  二人に少し沈黙が流れた。このままではまずいと思った大輔は、焦りながら「変なこと聞いてごめんな。とりあえずあがれよ」と言った。
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