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大輔の部屋で遊んでいた二人は大輔の母親から「大輔! 奈々実(ななみ)ちゃん! スイカ切ったから食べにいらっしゃい」と言われた。なので二人は階段を下りた。
スイカを食べていると、奈々実が急に大輔のほうへ振り向き「スイカおいしいね!」と満面の笑みを見せた。大輔は奈々実のそんな姿にドキッとしながらも「あぁ。そうだな」と頑張ってクールに言葉を返した。
そして時間は流れ夜。星がキラキラと輝いている。その星空の下で大輔の家族と奈々実の家族で花火をしていた。
大人は大人同士で明日の別れに対するシリアスな会話を。大輔と奈々実は二人で花火を楽しんでいた。
楽しい花火もいよいよ大詰め。最後は家族全員で線香花火大会をすることとなった。ルールは簡単。一番最後まで線香花火が消えなかった人の優勝である。
一人また一人と線香花火が消えていく。そして、残ったのは大輔の線香花火であった。奈々実も「大輔の線香花火すご~い!」と感激の眼差しで大輔と線香花火を見ている。
大輔はずっと心で線香花火よ消えるなと叫んでいた。消えると夜が終わる。夏が終わる。今日が終わる。楽しい日々が終わる。だから消えるな。ずっと奈々実と一緒にいれるこの瞬間が幸せなんだ。線香花火よ消えないでくれ。お前が消えたら明日になっちまう。
ずっと、そんなことを心で叫んでいた。だが、線香花火はずっとパチパチ鳴っていちゃくれない。線香花火は静かに消えた。それと同時に奈々実といれる今日も終わった。
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