懐かしき夏の思い出

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 大輔は家に帰った後、色々しているうちに寝る時間となり布団に入った。  大輔は寝れなかった。そして頭の中でずっと考えていた。このまま終わっていいのかと。  朝日が昇る時間までずっと自問自答を繰り返していた。そして大輔は一つの結論を出したのだ。  奈々実の家族がお別れの挨拶に来た。当然。奈々実も一緒である。奈々実はいつものように「大輔!」と叫んでいる。  そしていつものように大輔が奈々実の側へ向かう。 「大輔……今日でお別れだね。でも、大輔といた時間、本当楽しかった。ありがとね……」  奈々実はそう言うと、突然、涙を流した。 「ごめん大輔……泣かないで笑顔でさよなら言おうって決めてたのに……涙がとまらない……」  大輔は、そんな奈々実を見て、思わず自分も泣きそうになる。というより元々泣きそうだったのだが、男は女の前で涙を見せちゃ駄目なんだという自分なりのポリシーのおかげで涙を抑えることが出来ていた。  そして、大輔はもう一度自分の心で決心した。奈々実にはっきりと自分の気持ちを伝えようと。 「奈々実!」  大輔は大きな声でそう言った。 「俺も楽しかった。きっと奈々実ならどこへいっても大丈夫さ。頑張れよ。またいつか会おうな」  大輔は伝えることが出来なかった。最後の最後でプレッシャーに負けたのだ。  奈々実は「うん! 頑張る! 絶対会おうね約束だよ! 」と言い、去っていった。  大輔は奈々実が去った後、家族になだめられた。だが、それを無視して大輔はどこかへ走り去った。  大輔は走った。奈々実との思い出を思い出しながら走った。気持ちを奈々実に伝えられなかった自分の不甲斐なさを恨みながら走った。次第に涙があふれてきた。涙を流しながら走った。近くにいた人は不思議そうな顔をして大輔を見ていた。  どれくらい走っただろう。日も暮れてきている。大輔も冷静になり家へ向けてまた走った。  家へ帰る頃にはもう夜。家族はずっと家の外で大輔の帰りを待っていた。  泣き崩れた大輔の顔をみて、家族はそっと大輔を抱き寄せた。  そこで目が覚めた。夢だというのに目覚めたら涙が溢れていた。 「大輔! ご飯出来たわよ!」  大輔の奥さんらしき人が大輔を呼んでいる。 「あぁ! 今行くよ!」  大輔は、あんな夢を見たばかりなのでなのかは知らないが、いつもよりも大きな声で返事を返し、勢いよく階段を下りた。
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