プロローグ

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それから八年後… 王国暦1547年2月 まだ雪が積もっているが、小鳥が飛び、冬眠から目覚めたウサギが雪の丘から顔を出している 季節は春 一面銀世界の中に一人の青年が立っている 額には十文字の傷跡が刻まれ、神々しい黄金の瞳に肩まである白い髪をなびかせていた 旅慣れた服装の上にボロボロなマントを羽織っている その青年の前には雪が積もった大きな石が五つ どうやら墓のようだ 「久しぶりだね…八年ぶりに帰ってきたよ」 青年は片膝をつき墓の雪を払っていく 「そろそろだよ…この八年でこの世界を見て回ってきたけど、そろそろ崩れ始めるころだ 奴らも気付き始めたろうね、ふふふ、あいつらの焦った顔が目に浮かぶや……」 青年は立ち上がり青く澄み切った空を見上げる 「俺は何もしないよ…何も……あいつらがもがき足掻くのを見ているだけにしようと思う まぁちょっと遊ぼうかと思うけどね」 すっきりしたような顔で青年は五つの墓を見つめた後に墓に背を向けて歩きだした そして懐から顔の上半分だけ隠す簡易式の仮面を取り出し着けた その瞬間髪は黒色に、瞳は赤く変化する 「行ってきます 世界の終わりを見届けに…」  
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