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悟空はその日、木の上でうとうととしていた。 うまくバランスを取りながら幹と枝の間の大きなくぼみに身体を埋めて閉じてしまいそうな眼と格闘していた。 ・・・正直後継ぎとかそういう難しい話はどうでもいいのだ。 しかし残念なことに悟空は桃源財閥の社長令息、つまり一人息子だった。 そのせいでほしくもない遺産やこれから継がされるのに必要な教育何かを無理やり受けてきた。 普通の子供が送れるような、普通の生活など一度もさせてもらえなかった。 何度か家出を試みたこともあったがすぐに見つかって連れ戻されてしまう。 それもそのはず、うちの執事はムカつくぐらいに有能だった。
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