ひとつ

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呪いを受けたこの身体は、手遅れな程、血にまみれていた。 人が人を殺すことを人は罪だと言う。ケダモノだと言う人もいる。 ただ、私にはどうしても理解できなかった。 誰が死のうが誰が殺されようが、関係がない。それが私の考え方になっていたから。 歪んでいるのは分かっていた。 冷めているのも分かっていた。 それでも私は殺して、殺して、殺して、……血を浴び続けた。 馬鹿みたいだよ、本当に。 血の臭いがこの呪われた身体に染み付いてしまった。私の身体が血で真っ赤に見えた。夜眠ると殺した人たちの断末魔が聞こえてきた、助けを乞う声も聞こえてきた。 ――早く、 私が私であるうちに。 ……そんな中、ヤツが現れた。  
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