ひとつ

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服は血で真っ赤になっていてベトベト、私の足元は血溜りが出来ていた。頭がクラクラする。目の前がチカチカする。 今まで何もしてこなかったヤツが、ずっとその場から動いていないヤツが、武器など持っていないヤツが、……私の腕を消すように奪ったんだ。 『君が、そんな残酷な呪いに翻弄される必要はないんだ』 悔しい。悔しい悔しい。 ならば今までの私の殺しはなんだった。どうして私を否定する。どうしてそう言い切れる。 どうして悲しそうな顔をする。 『俺が受けた呪いは、消滅と再生』 ヤツも呪いを受けているということは、あの場にいたんだ。 私は痛みのあまり腕の無い右肩を押さえたが、逆に痛感を刺激してしまったようで痛みが増した。歯を食い縛り下を向いて耐えるが、冷や汗が頬を伝って地面に染みを作った。 悔しい。――私を否定されて 嬉しい。――私は今死にそう  
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