1261人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
「‥どう言ったところで、砂菜には言い訳にしか聞こえないだろうな‥」
髪に顔を埋めながら言う亮介の声は弱々しかった。
私は頷きもせず次の言葉を待つ。
「開き直りみたいに聞こえるかもしれないけど、寂しかったんだ‥
男のクセにって思われるかもしれないけど。
酷く忙しくて毎日仕事ばっかで、帰ると無性に虚しくて寂しかった。仕方ないって分かってても、砂菜に会えなくて‥‥他の人に救いを求めてしまった‥」
自分の目で見て確かめた事だったけど、やっぱり亮介の口から聞くと、目の前が真っ暗になった。
「先週‥来てくれたんだろ?」
不思議と涙は出なかったけど、声が出なくて頷いただけだった。
「気のせいかと思ったけど、カップとか下げてあったから。
あの日は本当仕事だったんだ、午前中だけだったけど。帰ったら何となくだけど砂菜の匂いがしたような気もして、電話したかったけど‥写真が目に入って出来なかった‥」
。
最初のコメントを投稿しよう!