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「天、覇、絶槍っ!真田幸村この雨に負けぬわぁあああ!」
道行く人々が、叫びながら疾走している彼を避ける。
端から見れば可笑しな光景であるもんだ。
「後もう少しで家でござる!」
と思った矢先、
「にゃあ~…」
「Σ!?」
幸村は足を止め、辺りを見回すと近くの電柱にダンボールの中に入った一匹の黒の子猫。
「…お主、捨てられたのか?」
「にゃあ」
その子猫の所でしゃがんで話し掛けると、人が言っている事が分かるのか返事をした。
子猫を抱き上げると、その体は雨に打たれてとても冷たい。
「…っ!」
それと抱き上げて分かったのが、この子猫…
「右目が潰れておる…」
最近では無さそうだか、硬く閉じられた右目には深い傷がある。
「この傷痛かったであろう」
幸村の表情が曇る。
前の飼い主がしたのか分からないが、酷すぎる。
(この子猫にはなんの罪が無いのに…)
「にゃ~」
「お主…気にするなと言っておるのか?」
「にゃあ」
子猫はその気持ちを察したのか、幸村の顔をペロリと舐める。
「…このままお主を見捨てる事は出来ぬ!」
そう言ったかと思うと、幸村は優しく子猫を抱き締めると同時に家へと走り出した。
これが黒猫との出会い
そして幸村の日常が崩れた時
(うぉおおおお!!←全力疾走)
(にゃあ…)
next⇒後書きと言う名の反省
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