余談 ・ 私のSweets

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    『はぁい。わかったわ。』   渋々、返事を返すと 微笑んで 髪を撫でてくれた。   飄々と つかみどころの無い人、 と 思ってたけど 案外 流され ちゃったり しないんだ。   芯は 堅物っぽいなぁ…。 ……頑固者だったり、するんだ ろうか?   恋人としては、いざとなったら 情熱的、っぽい。   やんわり フルーツ・ジュレの 中身は 違った素顔が 隠れてて ……楽しい、嬉しい。   私だけに 違う顔を見せてね。   彼の顔を見つめて クスクスと 笑っていたら 怪訝な顔をした。   『何が そんなに おかしい?』   ちょっぴりだけど 拗ねたよう な色が 瞳に 浮かぶ。   『ううん。やっぱり、私、  マシューが 好き、だわ。』   うっ、と マシューが息を呑む。   …あれ? 言っちゃいけなかっ た、かしら?   『……誰でも いいんじゃ、な  かったのか?』   マシューの 少し恨みがましい ような 低い声。   『自分で 選べないのなら、で  しょう? ちゃんと 自分で  選んだわよ。』   …まぐれ当たり、とも言うが。   彼が 肩をすくめてみせた。   『…どうだか…。  で、リーンは このまま部屋  に 居るか? 広間に戻るか?  どうしたい?』   …本当は戻るの 大儀なんだ けれど、なぁ。   『大丈夫、戻るわ。婚約者殿を  一人で やっかむ連中の中に  放り出したりしないわよ。』   そして、にっこり、笑って マシューを見つめた。   『私が 守ってあげるわ。』    
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