闇夜の獣

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月の光が、頬を紅く染めた女を映す。 ………… 血、血、血の海。 見たくない。思い出したくない。 ……な……旦那! 「!?」 「旦那、朝ですよ。」 「わかったよ」 なんで見るんだ。あんな夢。 ベットから起きるとロビーへ降り、遅い朝食を口にした。 ――バンッ 勢いよくテーブルを叩く音。 「なんであたしが!?」 小柄で力強い目をした女が、 「黙って言うことを聞けばいいんだ!」 大柄で力強い腕を持つ男達に食いかかっている。 酒場では昼でもこんな騒ぎは絶えない。しかし、俺の出番ではないようだ。すぐに、大男が店を追い出された。 やるな、アイツ。 俺は都市を渡り歩き、悪党を憲兵に突きだし生活している。突きだせば多少金も入るし、酒場で捕まえれば一泊分位はタダで泊めてもらえる。 要は賞金稼ぎだ。 だからこうして、チビチビと度の弱い安酒を飲み酒場にいるのだ。 今日は無理か、この酒飲み終わったら宿をとるかな。
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