微笑む女

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しばらくの間は、貞淑な妻を演じていた良枝だった。 (出来た女房をもらって幸せだ) 真実、そう感じた頃もある。 だが、毎日同じ空間で生活してみると、元は赤の他人の二人。 一週間もすれば違和感を感じ始める。 良枝は、口数が少ない。 女は、もっとお喋りで良いはずだ。 それなのに良枝は、必要なときにしか口を開かない。 そういう教育を受けたのだろうか。 俺が、どんなワガママを言っても良枝は反論しない。 只、静かに微笑む。 「たまには、不平不満をぶつけてくれてもいいんだぞ」 そう言っても、良枝は黙って微笑むだけ。 何かおかしい。
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