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俺はしばらく呆気に取られていたが、いつまでもこうしては居られない。
日が暮れる前に、沙織の携帯を取りに行かなければ。
その事を、まだ沙織以外には話していない。
「ちょっとみんな、聞いてくれ」
俺の言葉に、全員が耳を傾ける。
「最初にテレビで沙織を見た時、俺は沙織に電話をしたが、出なかったよな?」
洋介が、的外れな言葉を返す。
「沙織・・・?ああ、咲田か。なんで沙織って呼んでんだ?まさか・・・」
洋介はあの時酔い潰れて寝ていたから、経緯を知らないようだ。
俺は軽く洋介を無視する形で続けた。
「あの時沙織は、電話に出られなかったんだ」
「気が動転してたからか?」
「いや、違う。沙織を助けた時に洋介も聞いたと思うが、沙織は近くのコンビニで働いてたろ?」
「確か・・・そんな話を聞いたような・・・」
俺は思い出そうとする洋介に構わず、話を続けた。
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