天の使令

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 お兄様の住む世界は“闇の世界”と呼ばれている。  闇――…  それを頭に思い浮かべただけで、ぞくりと悪寒が走った。  お兄様が向けたあの怨みの篭った瞳のせい……だけじゃない。  闇の世界はわたしの住む世界、“天界”と違って、真っ暗な世界だと聞いていた。  そこでわたしのお兄様である“ルア様”が死んだ者の魂を導いている。  闇の世界では魂の行方を導くのが悪魔であるルア様の役目だった。  それが最近――本当はずっと以前からだと知っていたけど――滞り始めていた。  導かれずにその世界で留まっているのはなぜ……?  天はその長く続く悪循環の理由を知るために、わたしを使いに出したのだ。
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