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衝撃を与えた額に軽くキスをし、わたしの唇を塞ぐ。
感触はもう無い。
「お前はそこに逝くんだ。お前だけじゃない。
魂となったモノ全てだ」
「その世界は……どこにあるの……?」
「天界よりも高いところ。闇の世界よりも深いところ。
そして、人間界から遠く遠く離れた場所」
夢を語るようにその声は弾んでいた。
「だから、オレが逝くまで待ってろ」
ルア様の魔法も終わりを迎えたのか、わたしの視界に映る世界は段々と明るさを戻していった。
「先に逝って、待ってて欲しい」
「うん……待ってる。待ってるよ……待ってるから……わたし。
ルア様……さよな……」
その先の言葉を遮るようにルア様がわたしの口を塞いで黙らせる。
そして、やっぱり困ったように微笑みながら、揄うような口調で優しい言葉をくれた。
「いつか、また逢おう」
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