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あれは、生まれてから四年という歳月が流れた日。
天に腕を引きずられながら叫ぶお兄様の姿を見てしまった。
天の進む方向にはいつも天が「近づいてはいけない」と言っていた鏡があった。
その鏡は天の背丈より少し大きく、鏡なのに鏡面に映るものは、白と水色の散らばる不思議な世界。
鏡の前で駄々をこねるお兄様。
その時の理由は解らなかったけど、たぶんお兄様は知っていたのじゃないかと思う。
「どうしてアマツカは良くてオレは駄目なんだ!」
叫ぶお兄様の手を引き、天は鏡の中へと、お兄様の小さな身体を押しやる。
身体の全てが鏡の中へ納まると、わたしの背後からお兄様に付き従う二人の護衛が現れた。
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