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天の言った言葉の意味が理解できなくて、不安な気持ちに襲われたわたしはもう一度鏡を見た。
白と水色の混ざり合う世界にいるお兄様は、不思議と仕切られた透明な膜に手をあて、こちらを睨んでいた。
憎いというような、怨みの篭った双眸をわたしに向けていた。
その瞬間、わたしの瞳からほろりと涙が零れ落ちた。
穏やかでいつも優しい笑顔を向けてくれたお兄様が、わたしに敵意を向けるなんて信じられない。
だけど、目の前で起きて自分の瞳にしっかりと焼き付いた。
何よりも、鏡の透明な膜を壊さない限り、わたしはお兄様の元へいけない。
それが悲しかった。
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