別れ

5/6
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
 涙は瞬く間に頬全体を濡らし、それを拭っている間にお兄様はもう、不思議な世界へと駆け出していた。  言葉も交わさないまま去ってしまったお兄様。  その背中を涙で霞む視界でずっと見つめていた。  不思議な世界に溶け込むように、その姿が見えなくなるまで……。  それからもう二度と、お兄様と逢う事は無かった。 .
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!